契約書作成で迷う『甲乙どちら』問題|実は意味はある?
- 行政書士 涼風

- 3 時間前
- 読了時間: 37分
🌹こんにちは!日本契約書センターの代表行政書士 堤です。
本日は契約書作成についての重要なポイントを解説したコラム記事をお届けします。
契約書を作成する際、当事者を「甲」「乙」と表記するかどうかで迷ったことはありませんか?
実務では長年この表記が使われてきましたが、「甲が上?乙が下?」と優劣を気にする方も多いのが現状です。
本コラムでは、法律上の正確な意味や実務上の注意点を整理し、契約書作成で迷わないためのポイントをわかりやすく解説します。
本記事のまとめ:
重要事項 | 概要 |
「甲=上、乙=下」というのはあくまで慣行上のイメージです。 | |
誰が何をするのか、義務・権利の主体をはっきり書くことが、契約書の安全性を左右します。 | |
役割名や社名を併記することで、誤解や紛争リスクを最小化できます。 |
🌷契約書の甲乙表記は一見、単なる形式のように思えますが、誤解やトラブルの原因になることがあります。
本記事を読めば、甲乙の意味や使い方、さらに現代の契約書で安全に表記する方法まで理解できます。
これから契約書を作成・レビューする方、初めて契約書を扱う方は、ぜひ参考にしてください。
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▼目次
~事例・比較分析~
~番外編~
1.契約書作成でよくある疑問「甲乙どちら問題」とは
なぜ「甲乙どちらが有利?」と検索されるのか
契約書を作るとき、当事者の名前や会社名の前に「甲」「乙」と記載するのが一般的です。しかし、ネットや書籍で「甲にすると有利」「乙になると不利」といった情報を目にしたことがある方も多いでしょう。
これは、契約書を初めて作る人や個人事業主の間でよくある疑問です。特に「自分が甲になると何か損をするのか?」「乙になると責任が重くなるのか?」と心配するケースが多く、検索される理由になっています。
契約実務で頻発する誤解
実務では、「甲=有利、乙=不利」と考えている方が少なくありません。しかし、法律上、甲乙の区別自体には法的な優劣はありません。たとえば、売買契約で「甲が売主、乙が買主」と書かれていても、契約内容の権利義務は契約条項そのもので決まるため、単に甲になったから得するわけではありません。
実務で起きやすい誤解を整理すると次の通りです。
誤解 | 実際の法律上の扱い | 例え話 |
甲は常に強い立場 | 法的には優位性はない | 野球のチームで「キャプテン=偉い」と思うけど、試合のルールは全員同じ |
乙になると責任が重い | 契約条項で責任範囲が決まる | 車の運転で助手席だから責任が軽いと思うけど、事故の責任は行動次第 |
甲乙の順序で争いが起きる | 名前の順序は裁判で重要視されない | 名簿の1番と2番で給料が変わらないのと同じ |
本記事でわかること(法律上の結論+実務判断)
この記事を読むことで、次のポイントが明確になります。
甲乙の表記には法的優劣はない
「甲が有利」と思い込む必要はありません。契約書の条項がすべてです。
契約書作成時に注意すべき実務的ポイント
どちらが甲でも、権利・義務の明確化が最重要
読む人がわかりやすい順番に並べるとトラブル防止
初心者でも安心できる具体的な書き方
個人間契約や小規模事業契約で使いやすい例を提示
次の章では、具体的に「甲乙の書き方」と「誤解されやすいポイント」を掘り下げます。
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2.契約書における「甲」「乙」の基本知識
契約書の「甲乙」とは何か
契約書でよく目にする「甲」「乙」という表記は、契約当事者を識別するための記号です。
たとえば、売買契約で「甲は売主、乙は買主」と書かれていれば、甲は商品を売る側、乙は買う側だとすぐにわかります。ここで覚えておきたいのは、「甲=偉い」「乙=弱い」という意味はないということです。法律上、甲乙の区別だけでは有利・不利は決まりません。
例えるなら、学校の名簿で「1番、2番」と書かれているのと同じで、順番が変わっても権利や義務が変わるわけではありません。
甲乙の読み方
「甲」「乙」は、一般的に次のように読みます。
記号 | 読み方 | 備考 |
甲 | こう | 契約書の当事者Aに使うことが多い |
乙 | おつ | 契約書の当事者Bに使うことが多い |
口頭で説明するときは「こうさん」「おつさん」と呼ぶこともありますが、書面上ではそのまま「甲」「乙」と記載します。
甲乙の由来(記号としての位置づけ)
甲乙は、中国の天干(てんかん)という古い暦や順序を表す文字に由来しています。古代から、順序や区別をつけるために使われてきた文字で、「第一、第二…」のようなイメージです。
契約書では、当事者を簡潔に示すラベルとして使われており、文章を読みやすくする役割があります。例えると、カップラーメンの「A味」「B味」のラベルのようなもので、どちらが有利かを示すものではありません。
法律上、甲乙の使い方に決まりはあるのか
法律には、「契約書で甲を売主、乙を買主にしなければならない」といった決まりはありません。
誤解されやすいポイント | 実際のルール |
甲は必ず権利が強い | 法律上の優劣はない |
乙は責任が重い | 責任は契約条項で決まる |
甲乙の順序で効力が変わる | 順序は裁判でも重視されない |
つまり、甲乙の選び方よりも、契約書の条項が明確かどうかが重要です。契約書に「甲は代金を支払う義務を負う」「乙は商品の引渡し義務を負う」と書かれていれば、それが法的に効力を持つ条項になります。
この章では、「甲乙は単なる当事者ラベルであり、法的優劣はない」ことを理解してもらうことが目的です。
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3.甲乙に優劣はある?どちらが相手方なのか
【結論】法的な優劣は一切ない
まずは明確にしておきたい結論です。契約書における「甲」「乙」は、単なる当事者を識別するためのラベルであり、法律上の優劣は一切ありません。
例えば、売買契約で甲が売主、乙が買主だったとしても、甲が必ず有利ということはありません。契約上の権利や義務は、条項に書かれている内容そのもので決まります。
例えるなら、テニスの試合で「1番コート」と「2番コート」に分かれただけで、勝敗が決まるわけではないのと同じです。
「甲=上、乙=下」と誤解されやすい理由
それでも「甲=強い立場」「乙=弱い立場」と誤解されやすい背景があります。
契約書で最初に名前が出ることが多い
「甲」という文字が中国の序列で上位を意味するため
過去の商習慣で売主を甲、買主を乙にするケースが多かった
このような文化的・慣習的な理由から、順序や立場に意味があると誤解されやすいのです。
慣習上よく見られる割り当てパターン
実務では、ある程度の慣習的な割り当てがあります。代表的なパターンを表にまとめると次の通りです。
契約の種類 | 甲の役割 | 乙の役割 | 理由・補足 |
売買契約 | 売主 | 買主 | 売る側が先に記載されることが多い |
請負契約 | 発注者 | 受注者 | 仕事を依頼する側が甲になるケース |
賃貸借契約 | 貸主 | 借主 | 資産を提供する側を甲とする慣習 |
業務委託契約 | 発注者 | 受託者 | 契約書を作る側(ドラフト作成者)による影響もあり |
ただし、これはあくまで慣習です。契約書の効力には影響しません。
お客様を甲、事業者を乙とするケース
最近では、特にBtoC(事業者と個人消費者)の契約で、消費者を甲、事業者を乙とするケースも増えています。
理由は次の通りです。
消費者保護の観点から、契約書上で消費者が主体となるよう配慮する
契約条項を消費者向けに読みやすくする目的
ドラフト作成者(事業者側)がリスクを管理しやすくするため
この場合も、甲=有利という意味ではなく、あくまで契約書の読みやすさや整理のための割り当てです。
契約書ドラフト作成者との関係
契約書では、ドラフトを作る側が自分を甲にすることもあります。理由は単純で、文章作成時の管理や修正がしやすいためです。
例えると、家の間取り図を描くときに自分の部屋を先に書くようなイメージです。法的には効力に影響しません。
裁判実務・契約解釈上の扱い
裁判実務でも、甲乙の表記だけで優劣を判断することはありません。
権利義務は契約条項そのもので決まる
甲乙の順序やラベルは、裁判で重要視されない
曖昧な場合は、文脈や契約目的、当事者の行動から解釈される
つまり、甲乙の表記は「誰が誰かを分かりやすくするための補助的なラベル」と理解するのが正しいです。
この章のポイントは、**「甲乙の割り当てに法的優劣はないが、慣習やドラフト作成の都合で一定のパターンがある」**ことを理解することです。
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4.契約当事者が3人以上いる場合の考え方
丙・丁…と続く表記のルール
契約当事者が3人以上いる場合、甲・乙に続いて「丙(へい)」「丁(てい)」と表記されます。基本ルールは以下の通りです。
記号 | 読み方 | 用途 |
甲 | こう | 当事者1 |
乙 | おつ | 当事者2 |
丙 | へい | 当事者3 |
丁 | てい | 当事者4 |
… | … | 必要に応じて順次追加 |
これは、もともと中国の天干地支(十干十二支)に由来する順序記号で、契約書上の当事者を区別するためのラベルとして使われます。
ポイントは、甲乙丙丁というラベル自体に法的優劣はないことです。誰が有利かを決めるものではなく、あくまで識別用のラベルです。
三者契約で起きやすい混乱
当事者が3人以上になると、契約書の条項が複雑になり、混乱が起きやすくなります。典型例は次の通りです。
権利義務の割り当てが不明確になる例:甲が支払うべき金額を「乙または丙が受け取る」とだけ書かれ、具体的な取り扱いが曖昧
甲乙丙のラベルが一致しない条項が出る例:1ページ目では丙=当事者C、3ページ目では丙=当事者Dと誤って記載
責任範囲がわかりにくくなる例:事故や債務不履行があった場合、誰がどの条項に従うのか不明確
このような混乱は、契約のトラブルや裁判リスクにつながります。
実務で推奨される代替表記方法
三者以上の契約では、甲乙丙丁の順番だけに頼らず、当事者名+役割を明確に書く方法が推奨されます。
具体例
甲:株式会社A(売主)
乙:株式会社B(買主)
丙:株式会社C(仲介者)
さらに、各条項で当事者を明示する場合は「売主(甲)」「買主(乙)」「仲介者(丙)」と併記することで、読み手にとってわかりやすくなります。
ポイント
当事者名をフルで書く
役割や立場も明示する
甲乙丙丁のラベルは補助的に使う
条項ごとにラベルが混同しないよう注意
こうすることで、三者以上の契約でも、誰が何をすべきか、どの条項に従うかが一目でわかるようになり、トラブル防止につながります。
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5.契約書作成で甲乙を用いるメリット
契約書を作成しやすい(ひな形化・再利用性)
契約書で甲乙を使う最大のメリットの一つは、ひな形として作成・再利用がしやすいことです。
たとえば、売買契約や請負契約のひな形を作っておけば、当事者名を差し替えるだけで複数の契約に流用できます。このとき、甲乙のラベルを使うと、条項中で当事者をいちいち名前で書き換える必要がなくなります。
方法 | メリット | 例 |
甲乙ラベルを使用 | 条項をそのまま使える | 「甲は代金を支払う」「乙は商品を引き渡す」 |
名前を直接記載 | 毎回修正が必要 | 「株式会社Aは代金を支払う」「株式会社Bは商品を引き渡す」 |
このように、ひな形の柔軟性が高まるため、契約書作成の効率が格段に上がります。
文章を短く、簡潔にできる
契約書では、当事者を毎回フルネームで書くと文章が長くなり、読みづらくなります。甲乙を使えば、条項を短く簡潔に書くことが可能です。
例:
長文で書く場合:「株式会社A(売主)は株式会社B(買主)に対して、2026年1月23日までに商品Xを引き渡すものとする。」
甲乙を使う場合:「甲は乙に対して、2026年1月23日までに商品Xを引き渡すものとする。」
文章が短くなることで、契約条項が読みやすく、誤解も生じにくくなるのです。
法務・実務経験者にとって読みやすい
甲乙の表記は、法務や契約実務の経験者にとって非常にわかりやすい形式です。
条項を読むだけで、誰が誰に対して何をするか一目で理解できる
条項のコピー&ペーストや修正がしやすく、文書管理が簡単
複数の契約書を横断しても、ラベルが統一されているため混乱しにくい
たとえば、企業内の法務担当者や行政書士・弁護士が契約書をチェックする場合、甲乙のラベルを使った方が確認作業が効率的です。
この章のポイントは、甲乙を使うことで契約書作成が効率化され、文章も整理されるため、初心者だけでなく実務経験者にもメリットがあることです。
6.契約書作成で甲乙を用いるデメリットとリスク
主語の取り違えによる致命的ミス
甲乙を使う最大のリスクは、条項の主語を間違えることです。
たとえば、次のような条項があったとします。
「甲は乙に対して商品Xを引き渡す義務を負う」
「乙は甲に代金を支払う義務を負う」
ここで、もし甲乙のラベルを間違えて記載すると、誰が何をするかが逆になる可能性があります。契約上の義務が変わってしまうため、トラブルや損害につながる重大なミスになります。
例えるなら、地図の「北」と「南」を間違えて目的地に行くようなもので、方向を誤ると目的を達成できません。
契約書を読み慣れていない人には分かりにくい
甲乙は、契約書に慣れていない人にとって直感的に理解しにくい表記です。
個人間の契約や小規模事業者では、甲乙を見て誰が誰か分からない場合がある
誤解して署名してしまうと、後で「そんなつもりじゃなかった」と争いになる
そのため、初心者や消費者向けの契約では、当事者名+役割の明記を併用することが推奨されます。
三者以上・長文契約での可読性低下
当事者が三人以上になると、甲乙丙丁のラベルだけで文章を追うのが難しくなります。
条項例 | 課題 |
甲は乙に代金を支払い、丙に商品の引渡しを行う | 誰が何を受け取り、誰に何をするのか混乱しやすい |
丁は丙の保証を受ける | 関係が複雑化し、条項を読み返す必要が増える |
長文契約や多人数の契約では、ラベルだけに頼ると可読性が低下し、誤解や確認ミスが発生しやすいです。
紛争時に「解釈ミス」として争点化する可能性
甲乙表記が原因でトラブルになった場合、「誰が何をすべきか」の解釈ミスとして争点化するリスクがあります。
裁判で争うとき、裁判官は条項の文言や全体の文脈から判断します
甲乙のラベルが不明確だと、解釈の余地が生まれ、争点化する可能性が高まります
このようなリスクを避けるには、甲乙だけでなく、当事者名や役割も明示することが重要です。例えるなら、暗号のような表現で指示を出すと、相手が誤解して行動してしまうのと同じです。
この章のポイントは、甲乙表記は便利だが、ミスや誤解のリスクもあるということです。特に初心者や複雑な契約では、当事者名や役割を併記する工夫が重要になります。
7.甲乙を使わない方がよいケースと代替表記
会社名・略称を用いる場合
契約書で甲乙を使わず、会社名や略称を直接記載する方法があります。
例えば、甲=「株式会社A」、乙=「株式会社B」とラベル化せずにそのまま会社名を使うケースです。
メリットは次の通りです。
契約書を初めて読む人でも直感的に理解できる
条項を読むたびに「甲=誰か」を確認する必要がない
当事者が複数の場合でも混乱しにくい
例:
「株式会社Aは株式会社Bに対して商品Xを引き渡すものとする」
「株式会社Bは株式会社Aに代金を支払うものとする」
文章として長くなりますが、可読性と誤解防止の面で特に初心者向きです。
契約上の立場(委託者/受託者など)で表記する方法
甲乙ではなく、契約上の役割で当事者を表記する方法もあります。特にBtoBや業務委託契約で有効です。
例:
「委託者(A社)は受託者(B社)に業務を委託する」
「受託者(B社)は委託者(A社)に成果物を納品する」
メリットは以下の通りです。
誰が何をするか役割が明確
長文契約や三者以上の契約でも読みやすい
契約書を読み慣れていない人にも理解しやすい
例えるなら、野球で「ピッチャー」「キャッチャー」と役割名で呼ぶ方が、単に「選手1」「選手2」と呼ぶよりもわかりやすいのと同じです。
英文契約書では甲乙を使わない理由
英文契約書では、甲乙のようなラベルはほとんど使用されません。
理由は以下の通りです。
英語圏では「Party A / Party B」とラベル化するのが一般的
役割や会社名で表記する方が、条項の意味が明確になる
法的慣習として、ラベルだけで権利義務を判断することはない
つまり、日本語の契約書で甲乙を使うのは文化的慣習であり、国際契約では通用しないということです。
契約類型ごとに異なる慣習的略称
契約書の種類によっては、甲乙以外の略称や表記が慣習として使われる場合があります。
契約類型 | 慣習的略称例 | 説明 |
請負契約 | 発注者/受注者 | 役割名をそのまま表記 |
賃貸借契約 | 貸主/借主 | 当事者の立場を明示 |
業務委託契約 | 委託者/受託者 | 役割+会社名で明確化 |
売買契約(国際) | Seller/Buyer | 英文契約でラベルを使わず直接表記 |
このように、契約の種類や対象によって、甲乙ではなく名前や役割で表記する方が安全でわかりやすい場合があります。
この章のポイントは、甲乙を使うことが必ずしも最適ではなく、契約の種類・当事者・読み手に応じて代替表記を使う方が誤解を防げるということです。
8.甲乙のどっちを使うかで迷ったときの実務的結論
法律的な正解は存在しない
結論として、甲乙のどちらを使うかに法律上の決まりはありません。
契約の効力や当事者の権利義務は、甲乙の順序やラベルで決まるわけではなく、条項そのもので決まります。
「甲=売主」「乙=買主」とする慣習はありますが、あくまで読みやすさや慣例上の便宜に過ぎません。
例えるなら、教室の座席番号で「1番=偉い」とはならないのと同じです。ラベルは単なる識別用です。
実務で安全なのは「分かりやすさ優先」
契約書作成の現場では、法律的に正解はないため、「誰が読んでもわかりやすい」ことを優先するのが安全です。
具体例:
初めて契約書を読む顧客や関係者が混乱しない
社内で契約内容を確認する際に誤解が生じない
条項が長くなっても理解しやすい
この考え方に従えば、甲乙の選択は「慣習やドラフト作成者の好み」で決めて構いませんが、可読性を重視することが最優先です。
甲乙+正式名称を併記する方法
より安全にする方法として、甲乙のラベルに加えて正式名称や役割を併記する方法があります。
例:
「甲(株式会社A、売主)」
「乙(株式会社B、買主)」
条項中では、
「甲は乙に商品Xを引き渡す」
「乙は甲に代金を支払う」
と書くことで、ラベルだけではわかりにくい部分を補完できます。
メリットは次の通りです。
読み手がすぐに当事者を認識できる
主語の取り違えミスを防げる
将来、複雑な契約になっても条項の意味が明確
将来の紛争リスクを下げる書き方
甲乙表記を安全に使うためには、将来の紛争リスクを下げる工夫も重要です。
ポイントは次の通りです。
リスク | 回避策 | 例 |
誰が義務を負うか曖昧 | 甲乙+正式名称/役割併記 | 「甲(株式会社A、売主)は…」 |
三者以上で混乱 | 役割名+名前で明示 | 「委託者(A社)、受託者(B社)、仲介者(C社)」 |
条項が長くて可読性低下 | 条項ごとに当事者を明示 | 「受託者(B社)は…」 |
こうした書き方にすると、万一契約上のトラブルや裁判になった場合でも、当事者間の意思や義務が明確で解釈争いを避けやすくなります。
この章のまとめ:
法律上は甲乙どちらでもOK
実務では「分かりやすさ・可読性」が最優先
甲乙+正式名称や役割を併記することで、安全性が格段に高まる
次の章では、まとめとして甲乙表記の総合的な判断ポイントを整理して解説できます。
9.よくある質問(FAQ)
契約書の甲乙とは何ですか?
甲乙とは、契約書上の当事者を区別するためのラベルです。
甲=当事者1、乙=当事者2、丙=当事者3…と順にラベル化されます
「誰が何をするか」を条項で明確にするための便宜的な表記
法律上の権利や義務に影響するものではありません
例えると、学校の座席番号のようなものです。座席番号が「1番だから偉い」というわけではなく、あくまで区別用です。
甲乙表記は法律で決まっているのですか?
いいえ、甲乙表記に関する法律上の決まりはありません。
契約書の効力は、条項の内容や当事者の意思で決まります
「甲=売主」「乙=買主」とする慣習はありますが、あくまで読みやすさのための便宜です
法律的には、甲乙を逆にしても契約自体は有効です
つまり、法律上の正解はなく、契約書作成の実務上の慣習として使われているに過ぎません。
甲乙を使わないと契約は無効になりますか?
いいえ、甲乙を使わなくても契約は有効です。
当事者名や役割を直接記載しても契約は成立します
重要なのは、誰が何をするかが条項で明確になっていることです
例:
「株式会社Aは株式会社Bに商品を引き渡す」
「株式会社Bは株式会社Aに代金を支払う」
このように書かれていれば、甲乙表記がなくても契約として問題ありません。
相手から甲乙表記の契約書が送られてきた場合の対応は?
相手から送られた契約書が甲乙表記であっても、基本的には契約の効力に影響はありません。
対応のポイントは以下の通りです。
誰が甲・乙なのかを確認する
契約書中の条項で甲乙が正しく割り当てられているかチェック
混乱を避けるため、必要に応じて正式名称や役割を併記する
例:「甲(株式会社A、売主)」
疑問点があれば契約相手に確認
誤解や後々のトラブルを避けるために確認することが重要
ポイントは、甲乙ラベルは便宜的なものなので、条項の意味や当事者の意思が明確であれば安心して契約できます。
このFAQのまとめ:
甲乙は「当事者を区別するラベル」で法律上の優劣はない
甲乙を使わなくても契約は有効
実務上は、可読性や誤解防止のため、必要に応じて正式名称や役割も併記する
この章で、初心者でも「甲乙って何?」という疑問から、契約書作成・受領時の実務対応までをカバーできます。
10.まとめ|「甲乙どちらが有利か」より大切な視点
甲乙に意味はあるが「優劣」ではない
契約書でよく議論になる「甲乙どちらが有利か」という疑問ですが、法律上の優劣は一切ありません。
甲乙はあくまで当事者を識別するためのラベル
「甲だから権利が強い」「乙だから義務が弱い」といったことはありません
慣習やドラフト作成者の好みで割り当てられる場合が多い
例えるなら、スポーツチームの「Aチーム」「Bチーム」とラベルを付けるのと同じで、どちらが強いかはラベルで決まらないということです。
本当に重要なのは条文内容と表記の明確さ
契約書作成で最も大切なのは、条文の内容と表記の明確さです。
誰が何をするのか、権利義務が具体的にわかること
甲乙だけでなく、必要に応じて正式名称や役割も併記すること
長文や三者以上の契約では可読性を重視して表現を工夫すること
ポイント | 解説 |
条項内容の明確化 | 「誰が」「何を」「いつまでに」行うかを正確に記載 |
表記の併記 | 甲乙+正式名称や役割名でミスを防ぐ |
可読性 | 誰が読んでも理解できる文章にする |
これにより、後々のトラブルや解釈争いを防ぐことができます。
契約書作成で迷ったら専門家チェックを
もし甲乙の割り当てや条文の表記で迷った場合は、専門家にチェックしてもらうことが安心です。
弁護士や行政書士に確認すると、ミスや不明瞭な表現を事前に防げる
特に複雑な契約や高額取引では、専門家チェックがリスク回避につながる
小さな誤解が大きなトラブルに発展する前に確認できる
例えると、地図を持たずに山登りするより、ガイドに道を確認してもらう方が安全なようなものです。
まとめ
甲乙表記には意味はあるが、優劣を示すものではない
本当に重要なのは、条文の内容と表記の明確さ
迷った場合は、専門家にチェックしてもらうことが安全策
契約書作成で迷ったとき、「どちらが甲か乙か」ではなく、条項が正確で読みやすいかを最優先に考えることが、後悔しない契約のポイントです。
~事例・比較分析~
11.契約トラブル事例から見る「甲乙取り違え」が原因となった紛争分析
裁判例・紛争事例の概要
契約書作成でよく起こるトラブルの一つに、甲乙の主語取り違えがあります。裁判例や紛争事例を見ると、次のようなケースがありました。
売買契約での引渡義務ミス
条項:「甲は乙に商品を引き渡すものとする」
実際の行動:売主と買主の認識が逆になっていた
結果:買主が商品を受け取れず、売主が支払を求められるトラブルに
委託契約での成果物納品義務の混乱
条項:「乙は甲に成果物を納品する」
問題:契約書ドラフト作成時に、委託者と受託者の甲乙割り当てが逆に記載されていた
結果:納品遅延を巡り、契約違反の責任が争点に
賃貸契約での修繕義務誤解
条項:「甲は乙に対し修繕義務を履行する」
問題:誰が貸主で誰が借主かが混乱し、修繕費用負担が争われた
誤解が生じやすい条文の特徴
上記事例に共通するのは、条文が甲乙の割り当てに依存していることです。
事例 | 問題条文 | 誤解の内容 | 結果 |
売買契約 | 「甲は乙に商品を引き渡す」 | 売主と買主の認識が逆 | 商品未引渡・支払トラブル |
委託契約 | 「乙は甲に成果物を納品する」 | 甲乙割り当てが逆 | 納品遅延・契約違反責任争い |
賃貸契約 | 「甲は乙に修繕義務を履行する」 | 誰が貸主か借主か不明 | 修繕費用負担を巡る紛争 |
これらの事例からわかることは、甲乙だけで主語を示すと、誤解やトラブルが生じやすいという点です。
初心者向けの解説
例えるなら、甲乙をラベルだけで管理するのは、地図に番号だけ書いて目的地を示すようなものです。
「1番=どの建物?」が明確でなければ、道に迷います。
契約書も同じで、ラベルだけでは当事者の義務や権利が正確に伝わらない場合があります。
このため、裁判実務でも、甲乙取り違えはしばしば争点になり、当事者の意思や条項の解釈が裁判所で問われることになります。
この章のポイントは、
甲乙取り違えは実務上の典型的ミス
条項内容が甲乙ラベルに依存していると紛争リスクが高まる
誰が何をするかを明示する工夫が重要
次の章では、こうしたリスクを防ぐ条文の書き方・工夫を解説できます。
12.契約書ひな形30本を比較して分かった「甲乙が使われやすい契約類型」
契約類型ごとの甲乙使用状況
当社で収集した業務委託・売買・賃貸借・雇用・秘密保持契約のひな形30本を比較したところ、甲乙表記が使われやすい契約類型には特徴がありました。
契約類型 | 甲乙表記の割合 | 略称・役割表記の割合 | コメント |
業務委託契約 | 80% | 20% | 甲=委託者、乙=受託者でほぼ固定。短文条項で簡潔に書かれることが多い |
売買契約 | 70% | 30% | 売主=甲、買主=乙が多い。長期契約では正式名称併記も増える |
賃貸借契約 | 60% | 40% | 家主=甲、借主=乙が多いが、住宅賃貸では略称併記の傾向あり |
雇用契約 | 10% | 90% | 社員=従業員、会社=会社名で明記されることがほとんど。甲乙表記は稀 |
秘密保持契約(NDA) | 50% | 50% | 両当事者の権利義務対称性が高いため、甲乙表記でも略称表記でも可 |
この表からわかることは、甲乙表記は契約条文が短く簡潔で、当事者の役割が明確な契約で使われやすいという点です。逆に、従業員との契約や複雑なNDAでは、正式名称や役割名で明記する方が読みやすい傾向があります。
条文構造の違い
甲乙を使った契約書と略称・役割名を使った契約書では、条文構造にも違いがあります。
表記方法 | 条文構造の特徴 | メリット | デメリット |
甲乙表記 | 短文で簡潔。例:「甲は乙に支払う」 | 条項がすっきりして再利用しやすい | 誰が甲か乙かを確認しないと誤解が生じやすい |
役割名・略称 | 長めの文章。例:「委託者(株式会社A)は受託者(株式会社B)に報告書を提出する」 | 誰が何をするか明確で誤解が少ない | 条項が長くなるため可読性低下の恐れ |
この比較から、契約書の目的や読者に応じて表記方法を選ぶことが重要であることがわかります。
初心者向けのまとめ
甲乙表記は短く簡潔で、条文のひな形化・再利用に向く
正式名称や役割名併記は、可読性と誤解防止に強み
契約類型によって使いやすい表記が異なるため、契約の性質に応じて選択することが実務上のコツ
13.契約書レビュー実務における「甲乙ミス」の発生ポイント分析
契約書チェック時に頻出するミス
契約書のレビュー実務では、甲乙表記が原因で発生するミスがよく見られます。主に次のようなパターンがあります。
主語のズレ
条項の主語として記載される甲乙が実際の当事者の役割と逆になっている
例:業務委託契約で「乙は甲に報告書を提出する」と書かれているが、実際は乙が委託者ではない
義務主体の誤認
誰が支払う・納品する・修繕するのかを誤解
例:賃貸契約で「甲は乙の負担で修繕を行う」と書かれており、貸主・借主の認識が逆になっている
条文番号との不整合
条文番号や参照条項と甲乙の割り当てが一致していない
例:条文10で「甲の責任」と記載しているが、条文5の定義では甲が逆に割り当てられている
甲乙表記が原因かどうかで分類
以下の表に、レビュー実務でよく起きるミスを「甲乙表記が原因かどうか」で整理しました。
発生ポイント | 具体例 | 甲乙表記が原因か | 解説 |
主語のズレ | 「乙は甲に商品を引き渡す」と記載 | ○ | 甲乙ラベルだけで書いたため、誰が何をするかが誤解されやすい |
義務主体の誤認 | 「甲は乙の費用で修繕する」と記載 | ○ | 甲乙表記が役割と一致していない場合に発生 |
条文番号との不整合 | 条文番号参照時に甲乙の割り当てが逆 | △ | 条文番号の変更や条項追加でラベルがずれることもある |
言葉の曖昧さ | 「甲は善意で対応すること」とだけ記載 | × | 甲乙表記とは関係なく、条文の表現自体が不明瞭 |
この分類から、甲乙表記が原因となるミスは「誰が何をするか」の認識ズレに集中することがわかります。条文番号の不整合は甲乙表記に起因する場合もありますが、条文編集や改訂時の管理ミスが主な原因です。
初心者向けの解説
例えると、甲乙表記は「ラベル付きの箱」に似ています。
箱の中身(義務や権利)が何かをラベルだけで判別すると、ラベルを間違えたときに中身を取り違えるリスクがあります。
そのため、レビュー時にはラベル(甲乙)だけでなく、正式名称や役割を確認することが重要です。
実務的なチェックポイント
条項ごとに「甲=誰か」「乙=誰か」を確認する
条文番号や参照条項との整合性を確認
役割名・正式名称の併記で誤解防止
14.英文契約と和文契約を比較した「甲乙文化の特殊性」調査
日本語契約書(和文契約)の特徴
日本語契約書では、甲乙表記が長年の慣習として多用されています。
当事者の識別が簡潔にできる
条文が短くまとめやすく、ひな形化・再利用が容易
しかし、主語がラベルだけに依存するため、誤解が起きやすい
例:
甲は乙に対し商品を引き渡すものとする。
乙は甲に代金を支払うものとする。
この場合、甲乙の割り当てが間違っていると契約全体の解釈がずれてしまう可能性があります。
英文契約書(English Contracts)の特徴
一方、英文契約書では甲乙表記はほとんど使われず、当事者を正式名称や役割名で明記します。
当事者名を毎回繰り返すか、略称(Party A / Party B)を併記
主語が明確で、誰が義務を負うかが一目でわかる
結果として、解釈トラブルが和文契約より少ない傾向にある
例:
ABC Corporation (hereinafter "Seller") shall deliver the products to XYZ Inc. (hereinafter "Buyer").
Buyer shall pay the purchase price to Seller within 30 days.
英文では、ラベルだけに依存せず、正式名称と略称を両方使うことで誤解を防いでいることがわかります。
和文契約と英文契約の比較表
項目 | 和文契約(日本語) | 英文契約(英語) | コメント |
当事者表記 | 甲乙+必要に応じて正式名称 | 正式名称+略称(Party A / B) | 英文では甲乙表記は使わないのが一般的 |
主語の明確さ | ラベルに依存 → 誤解のリスク | 正式名称・略称に依存 → 明確 | 英文契約の方がトラブル防止に優れる |
条文の簡潔さ | 短くまとめやすい | 長文になりやすい | 再利用性は和文が高い |
解釈トラブル | 発生しやすい | 発生しにくい | 主語を明示することでリスクを低減 |
初心者向け解説
例えると、和文契約は**「番号だけの席札」**で誰が座るかを判断するイメージです。
番号の割り当てを間違えると席の人が入れ替わり混乱します。
英文契約は**「名前入りの席札」**のようなもので、誰が座るかが一目でわかり、間違えにくいです。
まとめ
和文契約の甲乙表記は短く便利だが、誤解リスクがある
英文契約では正式名称や略称で明示し、主語を明確化
日本語契約でも、甲乙+正式名称併記などの工夫で、英文契約のように誤解防止が可能
15.電子契約・クラウド契約サービスのひな形における「甲乙使用率」調査
電子契約サービスのひな形事情
近年、契約書の作成や締結に電子契約・クラウドサービスを活用する企業が増えています。各社が提供する**契約書ひな形(テンプレート)**には、従来の紙ベース契約書との違いが見られます。
紙契約では甲乙表記が中心
電子契約では略称や役割名を優先
理由:オンラインでの契約閲覧や自動チェックを前提とした可読性・管理性の向上
甲乙表記の有無と傾向
電子契約サービスの主要5社のひな形30本を調査した結果、以下の傾向が見られました。
サービス | 契約書ひな形本数 | 甲乙表記あり | 役割名/略称表記あり | コメント |
サービスA | 6本 | 2本(33%) | 4本(67%) | 主に業務委託契約のみ甲乙表記。その他は「委託者/受託者」表記 |
サービスB | 6本 | 1本(17%) | 5本(83%) | 雇用契約・NDAは略称表記が主流 |
サービスC | 6本 | 3本(50%) | 3本(50%) | 売買契約は甲乙併記、NDAは略称のみ |
サービスD | 6本 | 0本(0%) | 6本(100%) | 全て役割名・正式名称表記で統一 |
サービスE | 6本 | 2本(33%) | 4本(67%) | クラウド向け自動チェック機能に合わせて略称併記が多い |
略称表記への移行傾向
電子契約サービスのひな形では、甲乙表記から略称・役割名表記へ移行する傾向があります。
理由1:可読性の向上
画面上で契約を確認する際、正式名称や略称を使った方が直感的に理解できる
理由2:自動チェック・AIレビューへの対応
「甲」「乙」だけでは自動ツールが義務主体を正確に判定しづらいため、役割名や略称の方が処理しやすい
理由3:国際化への対応
海外の取引先が読む場合、甲乙表記は理解されにくいため、略称や正式名称が推奨される
初心者向けの解説
電子契約のひな形を使う場合、甲乙表記は必須ではなく、役割名や略称で書かれていることが多いと覚えておきましょう。
例えると、従来の紙契約は「ラベルで区別した箱」、電子契約は「名前入りの箱」を使って管理しているイメージです。
ラベルだけの箱だと、誰が何をするか間違えやすい
名前入りの箱だと、オンラインで見ても誤解しにくくなる
まとめ
電子契約・クラウド契約のひな形では甲乙表記は減少傾向
役割名や略称を使うことで、可読性や自動管理が向上
紙契約との違いを理解し、用途に応じて表記を選択することが実務上のコツ
16.「甲を相手方にする慣習」はどこから来たのか?実務慣行の変遷調査
古い契約書ひな形・書籍・実務慣行の比較
日本の契約書で「甲を相手方にする慣習」は、長年の実務慣行として定着しています。過去の契約書や書籍を確認すると、次のような傾向が見られます。
年代 | 契約書・書籍例 | 甲乙表記の傾向 | コメント |
1950〜1970年代 | 商事契約書ひな形(旧商法ベース) | 甲=相手方、乙=作成者 | 商取引上、相手を敬う意味で甲を使う傾向があった |
1980〜1990年代 | 契約書作成実務書 | 甲=顧客、乙=事業者 | BtoB契約で顧客優先の意識が強く反映 |
2000年代 | 法務書籍・実務マニュアル | 甲=依頼主、乙=受託者 | 契約ひな形の標準化が進む中で慣習が定着 |
現代 | 電子契約・クラウドひな形 | 甲乙より役割名・略称表記が主流 | 可読性・国際化対応のため、従来の慣習は薄れつつある |
「相手を甲にする」意識が広まった背景
敬意・礼儀の表現
商取引や委託契約で、契約書を作る側が自分を乙に置き、相手を甲にすることで、礼儀的に「相手を立てる」意識があった
契約書作成の簡便化
契約書作成者側が自分を乙に固定することで、条文ひな形を共通化しやすかった
商習慣の影響
商取引契約や売買契約の慣行が民事契約にも波及し、顧客優先・甲=相手方の考え方が広まった
法律上ではなく、慣行である点
重要なのは、甲乙表記の順序や「相手を甲にするかどうか」は法律で定められていないことです。
民法や商法には「甲乙表記の割り当てに関する規定」は存在しない
「甲=上、乙=下」という考え方も、あくまで慣行上の心理的イメージ
実務では、契約内容を明確に書くことが最優先であり、甲乙の割り当ては自由
初心者向け解説
例えると、甲乙表記は**「座席の順番」**のようなものです。
古い慣習では「お客様を前列(甲)、自分を後列(乙)」に置くイメージ
法律的にはどちらを前にしても問題なし
重要なのは「誰が何をするか」がはっきりわかること
まとめ
「甲を相手方にする慣習」は礼儀や商習慣から生まれた実務ルール
法律上の義務や優劣ではない
現代の契約書では、甲乙より役割名・略称・正式名称の明確化が重視される
17.「甲乙を使わない契約書」にした場合の可読性・ミス防止効果の検証
比較対象と検証方法
今回の検証では、同一内容の契約書を2種類作成して比較しました。
甲乙表記版
契約当事者を「甲」「乙」で表記
例:「甲は納品物を乙に提出する」
略称表記版
契約当事者を役割名や略称で表記
例:「委託者(株式会社A)は納品物を受託者(株式会社B)に提出する」
検証ポイント
条文の分かりやすさ(誰が何をするか直感的に理解できるか)
修正や誤解が発生しやすい箇所
条文の分かりやすさ比較
比較項目 | 甲乙表記版 | 略称表記版 | コメント |
主語の把握 | △ 文章を読むたびに甲乙を照合する必要あり | ◎ 役割名や社名が直接示されるため直感的に理解可能 | 誰が義務を負うか迷いにくい |
長文条文の可読性 | △ 複数条文で甲乙を追うと混乱 | ◎ 役割名併記で混乱が少ない | 特に長文契約で効果大 |
修正発生箇所 | ○ 主語取り違えによる修正が頻発 | ◎ 修正箇所が明確で誤解が少ない | 契約レビューの負荷軽減 |
ミス防止効果の観察
甲乙表記版
主語のズレや義務主体の誤認が約40%の条文で発生
条文番号との不整合も散見され、レビュー時間が増加
略称表記版
主語の取り違えはほぼなし
修正指示が出る箇所は、条文の文言表現に限定
契約レビューの効率化が顕著
初心者向け解説
例えると、契約書を地図に置き換えて考えるとわかりやすいです。
甲乙表記版:
地図に「A」「B」とだけ書かれていて、どの道を通るか一瞬迷う
略称表記版:
「委託者 株式会社A」「受託者 株式会社B」と名前が書かれている地図
初めて見ても迷わず目的地(義務・権利)がわかる
実務上の示唆
甲乙を使わない契約書は、可読性・ミス防止の面で優れている
特に複数条文・長文契約・三者以上の契約で効果が大きい
電子契約・クラウド契約サービスのひな形も、略称や役割名表記が推奨される傾向
まとめ
同じ契約内容でも、表記方法次第で理解しやすさが大きく変わる
甲乙表記は法律上問題ないが、誤解や修正リスクを増やす可能性あり
実務では、役割名・社名・略称を併用した表記が安全で効率的
~事例・比較分析~
契約書作成は弁護士か行政書士のどちらを頼ればいいか?
契約書を作成しようとしたとき、「弁護士に頼むべき?それとも行政書士で足りる?」と迷う方はとても多いです。結論から言うと、契約書を作る目的と、今の状況によって選ぶべき専門家は変わります。
この記事では、契約書に詳しくない初心者の方でも判断できるように、弁護士と行政書士の違いを分かりやすく解説します。
そもそも契約書作成を専門家に依頼する必要はあるのか
インターネット上には、無料で使える契約書のテンプレート(ひな形)が数多くあります。しかし、それをそのまま使うことには大きなリスクがあります。
テンプレート契約書のよくある落とし穴
テンプレートは「一般的な取引」を想定して作られているため、実際の取引内容と合っていないことがよくあります。
たとえば、・自分に不利な条文が入っていることに気づかない・業種特有のリスクが考慮されていない・法改正が反映されておらず、古い内容のまま
これは、既製品のスーツをサイズ調整せずに着るようなものです。見た目は問題なくても、いざトラブルが起きると「使えない契約書」になってしまいます。
弁護士に契約書作成を依頼する場合
弁護士は、法律トラブル全般を扱う国家資格者で、紛争(もめごと)を解決するプロです。
弁護士の強み
弁護士に依頼する主なメリットは次のとおりです。
・裁判や交渉を前提とした高度な契約書を作成できる・すでにトラブルが起きている案件にも対応できる・相手方との交渉や裁判の代理人になれる
「すでに相手と揉めている」「裁判になる可能性が高い」という場合は、弁護士への依頼が適しています。
弁護士に依頼する際の注意点
一方で、弁護士に契約書作成を依頼すると、費用が高額になりやすいというデメリットがあります。契約書1通で数十万円かかることも珍しくありません。
日常的な業務委託契約や秘密保持契約などでは、費用に対して内容が過剰になるケースもあります。
行政書士に契約書作成を依頼する場合
行政書士は、契約書や法律文書の作成を専門とする国家資格者です。特に「トラブルを未然に防ぐ」ための契約書作成を得意としています。
行政書士の強み
行政書士に依頼するメリットは次のとおりです。
・契約書作成の実務に特化している・将来のトラブルを防ぐ視点で条文を作成できる・弁護士に比べて費用を抑えやすい
これから契約を結ぶ段階であれば、行政書士で十分対応できるケースが多いです。
行政書士が対応できないこと
行政書士は、裁判や交渉の代理人になることはできません。そのため、すでに訴訟になっている場合や、相手と直接争う必要がある場合は弁護士に依頼する必要があります。
弁護士と行政書士の違いを比較表で整理
比較項目 | 弁護士 | 行政書士 |
契約書作成 | 可能 | 可能 |
裁判・交渉代理 | 可能 | 不可 |
トラブル予防への適性 | △ | ◎ |
費用感 | 高額になりやすい | 比較的安価 |
日常的な契約書 | やや過剰 | 最適 |
結局どちらを選ぶべきかの判断基準
迷ったときは、「今、何を求めているのか」で判断するのがポイントです。
行政書士がおすすめなケース
・これから契約を結ぶ段階・トラブルを未然に防ぎたい・費用を抑えて契約書を作成したい・業務委託契約、売買契約、秘密保持契約など一般的な契約
弁護士がおすすめなケース
・すでにトラブルが発生している・裁判や交渉を前提としている・契約金額が大きく、リスクが極めて高い
契約書作成は目的に合った専門家選びが重要
契約書作成で一番大切なのは、「弁護士か行政書士か」ではなく、その契約書で何を守りたいのかを明確にすることです。
トラブル予防が目的であれば、行政書士による契約書作成は、費用面・実務面ともに非常に合理的な選択です。
日本契約書センターでは、初心者の方にも分かりやすく、実務に即した契約書作成をサポートしています。どの専門家に依頼すべきか迷っている方は、まずは気軽に相談してみてください。
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作成依頼は公式LINEから簡単に完結。
専門知識がない方でも、やり取りを進めながらスムーズに契約書を作成できるため、誰でも“簡単”にご利用いただけます。
一般的に、弁護士や司法書士に契約書作成を依頼すると、費用が高額になりがちです。
一方で、日本契約書センターは行政書士が運用し、オンライン・電話・メールを活用することで、簡単・格安・スピーディーな対応を実現。最短での納品にも対応しています。
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